



上から
釈迦牟尼の誕生 片岩 ガンダーラ 2〜4世紀 高: 51cm
釈迦牟尼(釈尊)はルンビニー園のアショーカ(無憂)樹ないし沙羅樹の下で誕生したと仏典は伝える。本作品では、中央に無憂樹(沙羅樹)があり、その枝葉をマーヤー夫人が腰をS 字型にくねらせて掴んでいる。赤子の釈尊は母親の右脇腹から上半身を現し、それをターバンを戴く帝釈天が最高級のカーシーの布で受け止めようとしている。夫人の後ろには妹のマハーパジャーパティーが立って、立産をする姉を支えている。その背後には、水瓶と団扇を持つ侍女が立っている。上段のターバンを巻いた二人の男は太子誕生を見守り祝福する天人であるが、向かって右端の顎髭や口髭のある男は執金剛神のように見える。マーヤー夫人が女性器が露出するエロティックな姿で描写されているのは異常である。また通常の出産、即ち女性器の膣を通過して生まれると、過去世で得た記憶を全て忘れてしまうから、釈迦牟尼は人間の通常出産ではなく、右脇腹から超人的に生まれたと仏典はいう。
太子の相撲と象投げと天人と木蔦文
片岩 ガンダーラ 2〜4世紀 高:18 cm
画面を3段に分けて、下段に太子の武技訓練、中段にはハート型の葉を連ねる永遠不滅と再生復活を象徴する木蔦文、上段には太子を讃美するさまざみな天人たちを配す。木蔦文帯は吉祥を意味するハート連続文と開花文で枠取られている。太子の武技訓練は相撲ないしレスリング(中央)や、象を投げ飛ばす超人的な技(右端)など肉体の力を鍛錬するものである。画面の左側には盾や槍(?)を持つ若者が武芸訓練を行なっている。SR-0027に後続する仏伝浮彫である。
仏陀と外道の術比べ 片岩 ガンダーラ 2〜3世紀 高: 60 cm
仏陀(釈尊)は超能力の持主であったので、様々な魔術(神変という)を行なった。その噂を聞きつけた、神通力自慢の裸形外道のパーティカの息子 (波梨子) は「自分には釈尊の二倍の能力がある」と豪語して、釈尊に(魔)術比べを挑んだ。ところが釈尊は「パーティカの息子は自分には会えない」と予言した。そこで、園林にいたパーティカの息子は釈尊に会いに行こうとしたが、釈尊の「不動金縛りの術」によって、腰掛けから立ち上がれなくなってしまった。そこで、数人の男が彼を連れてこようとしたが、この術を破れず失敗した。画面の向かって右端には東屋の柱に左手をかけるパーティカの息子が腰掛けに坐し、その腰にロープを巻きつけて引っ張るリッチャヴィ族の男が中腰で立っている。結局、パーティカの息子は一歩も動くことができずに敗北した。画面の向かって左側には、両肩から火焔を、両足から水流を出して「双神変」を行う釈尊が立っているが、この魔術によって、眼に見えない「不動金縛りの術」を暗示している。釈尊の左上には金剛杵を持つ執金剛神と釈尊に花球を献上しようとする天人ないしリッチャヴィの男が見える。更にアーチにはトーリト―ンというギリシアの海獣が合掌して仏陀に敬意を表明している