

豊穣、生命をめぐる女性神像の系譜
―古代中央アジアとインド世界―


本展では、古代西アジアから中央アジア、インド世界に広がる女性神像の表現をたどり、豊穣と生命への祈りが、いかに多様な「女神のかたち」として表されたのかを探ります。
四千年前の視線が、ここに

第一章 メソポタミアの神々
古代メソポタミアにおける女神の表現を、円筒印章に表された図像や、粘土板・粘土釘に刻まれた楔形文字の記述を中心に紹介します。神前儀礼や礼拝をめぐる資料から、当時の神々がいかに表現され、崇拝されていたのかをたどります。
その上で、後に登場するマルギアナの女神像を、同時代の広域的な文化交流の中で捉える視点を提示します。
赤鉄鉱の円筒印章
旧バビロニア時代 紀元前1900年〜1700年頃
第二章 マルギアナの女神たち
オクサス文明圏に栄えたマルギアナ、バクトリアの女神像を紹介します。静謐で神秘的な佇まいを見せる「女神坐像」に加え、翼を広げて飛翔する姿を表した国内初公開の貴重な「人頭鳥身像」など、多彩な女性像の造形に注目します。
これら女神像の数々を、祭祀具や関連する器物とともに展示し、謎に包まれたオアシス都市の信仰や儀礼の中で果たした役割を探ります。

地母神像
パキスタン(メヘルガル遺跡周辺)
紀元前3000年〜2500年頃

人頭鳥身像
バクトリア 紀元前2100年〜1800年頃
第三章 パキスタン南西部・メヘルガルの女神像
インダス文明に先行する南アジア最古級の農耕集落、メヘルガルから出土した女性像を紹介します。豊かな身体表現や装身具に注目し、農耕社会における女性像と、豊穣や生命の再生に結びつく観念について考えます。
第四章 インドに花開く女神たち
歴史時代のインドに花開いた多様な女神信仰を、地母神やヤクシニー、ラクシュミーなどの造形を通して紹介します。
豊穣、母性、生命、富や繁栄をめぐる女性神格の姿をたどり、地域や時代によって多彩に展開したインドの女神信仰の世界に迫ります。
地母神像
北インドの南東部(チャンドラケートゥガル)
シュンガ朝時代後期(前1世紀)


第五章 ガンダーラの女神たち
ガンダーラの彫刻とコインに表された女神像を紹介します。彫刻では、アフロディテ、ナナ、ハーリティの姿に注目し、コインにはアテナ、アルテミス、テュケ、リシュトー、ナナ、アルドクショーなど、多様な女神が表されます。異なる文化に由来する女神像が、彫刻や貨幣を通して広域に共有された様相をたどります。
さらに、彼女たちを取り巻く神々の世界の一端として、ヘラクレスやゼウス像を表したコインも展示し、ガンダーラにおける信仰の広がりを多角的に紹介します。
ライオンに乗る夜叉女(ヤクシニー)
ガンダーラ 2〜4世紀