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ソグド人が運んだ文化と美術
シルクロードの商人


7.18 sat → 10.18 sun
現在のウズベキスタンやタジキスタンにまたがる中央アジアのオアシス地域をソグディアナといいます。
この地域を故郷とするソグド人は、シルクロードを行き交う商人として活躍し、商品と共に多彩な文化や美術を東西へ運びました。本展では、彼らが残した魅力あふれる美術作品を紹介します

第一章 ソグド人のイメージ
シルクロード交易を担ったソグド人の姿と、その国際的な文化交流の実像を、三つの資料を通して紹介します。
≪ソグド人俑》は、ソグド人たちが東アジア社会の中で活躍した様子を今に伝える貴重な造形です。
また、≪ソグド人商隊俑》は、ラクダを連ねて広大な交易路を往来し、絹や香料、宝石だけでなく、
多様な思想や文化を運んだソグド商人の営みを象徴しています。
また、≪連珠・人物文把手付水差し》は、西方由来の意匠と東方世界の美意識が融合した工芸品であり、シルクロードを通じた文化交流の豊かさを物語ります。
これらの作品からは、ソグド人が単なる商人ではなく、人から人へ、地域から地域へと文化や技術、信仰を伝える架け橋となった人々であったことが伺えます。
◀ ソクド人俑(ラクダを引く胡人) 加彩粘土 中華人民共和国 7~9世紀 唐時代 高: 51cm
ソグド人を表した陶製人物像。本像は、彫りの深い顔立ちや豊かな髭、特徴的な帽子によって西方系の容貌を強調している。拳を掲げる躍動的な姿勢は、舞踊や演技、あるいは宴席での所作ないしは、ラクダや馬を引く姿を表したものと考えられる。
このような図像は、音楽や芸能など多様な文化を中国にもたらしたソグド人の姿を伝えている。中国墓葬に副葬されたこうした像は、当時の国際的な交流と異文化への関心を示す貴重な資料である。
第二章 ソグド人が運んだモノと文化
中央アジアのオアシス都市に暮らしたソグド人は、シルクロード交易の担い手として活躍しました。
彼らは絹や香料、貴金属製品などの交易品を運ぶとともに、旅する人々や各地の文化・風俗もシルクロード上にもたらしました。
第二章では、西方世界との交流を物語る《鍍金銀製酒杯》や《白瑠璃碗》、隊商の旅を象徴する《三彩駱駝》、異国の音楽や舞踊の流行を伝える《楽士俑》や《踊り子像》を展示しています。
また、《東南アジア人の像》や《菩薩と供養者夫妻》からは、多様な人々が往来した国際社会の姿もうかがえます。
作品を通して、ソグド人が運んだ「物」と「人」が織りなすシルクロード交流の世界を紹介します。
鍍金銀製酒杯 銀・金鍍金 ハッダないしタキシーラ(?) 7〜8世紀 直径13cm ▶
器の外面に装飾文を削り出し、鍍金している、おそらく酒杯であろう。装飾は、鳥が止まった葡萄唐草文によって6個の円形枠を作り、その内側にブドウを収穫する男、盾と棒で戦う男、狐(?)を捉える男、葡萄を食べる犬(猟犬?)、小太鼓を叩く男、琵琶を演奏する男よりなる。
中央のメダイヨンの内には、猪を捕らえて運ぶ鷲を表す。鷲が有蹄類を捕らえて運ぶモティーフは、ササン朝後期からイスラム初期にイランで愛好され、春分の日、再生復活などの象徴的意味があるといわれるが確証はない。メダイヨンと6個の円形枠はイランの「ハフト・ケ―シュワル地球観」(中心はイラン民族、周辺は異民族の住所)を下敷きにしている。
一方、葡萄唐草文の図像はローマのモザイク画に起源し、死者が楽園に再生して得る安楽を象徴している。


第三章 織物
シルクロードを行き交ったソグド人は、さまざまな品物を運びました。そのなかでも美しい織物は、多くの人々を魅了した特別な商品でした。
本章では、《対鹿円文緯錦》《牝牛文緯錦》《対羊文緯錦》《天馬文緯錦》《対孔雀・連珠円文緯錦》などのソグド錦を紹介します。
鹿や羊、孔雀、天馬といった動物たちが色鮮やかに織り出された文様は、遠く西アジアや中央アジアの文化を伝えるものです。こうした織物はシルクロードを通じて各地へ運ばれ、中国や日本の美術や工芸にも影響を与えました。
華やかな文様に込められた異国への憧れと文化交流の広がりをお楽しみください。
◀ 対鹿円文緯錦 緯錦(ソグド錦) 絹 ウズベキスタン 7~8世紀
赤色、紺色、白色の絹糸で文様を織り出した緯錦(よこにしき:たて糸の地によこ糸で文様を作成する織り方)の一部分である。花文を連ねた大きな円文の内側に、聖樹を挟んで対面する一対の有翼牡鹿を配す。聖樹は周りの植物文と共に楽園を象徴する。非現実的な外観をした鹿の胴部には大きな開花文(ロゼット:太陽のシンボル)、首には連珠をつけているが、これらの装飾は、この鹿が現世ではなく別世界=楽園の動物であることを示す。この華麗な文様構成のコンセプト(基本的構想)は吉祥であるので、この織物は壁掛けなどに用いられた後は、棺の覆いに使用され、死者の楽園への再生復活を願ったものであろう。産地はブハラやサマルカンドなどウズベキスタンであるが、出土地はチベットである。
第四章 コインの広がり
シルクロードの要衝であったソグディアナの周辺では、さまざまな王朝が興亡し、それぞれの時代を反映したコインが流通しました。
第四章では、アケメネス朝ペルシアやアレクサンドロス大王の時代に始まり、グレコ・バクトリア朝、クシャン朝、クシャノ・ササン朝、キダラ・ササン朝、そしてソグドに至るまでの貨幣を紹介します。
コインには支配者の肖像や神々の図像、文字などが刻まれ、広域にわたる政治と文化のつながりを物語っています。この小さな貨幣からは、東西世界が交わるこの地域のダイナミックな歴史と、多様な文化が重なり合う姿を読み取ることができます。
フルアク銅貨 発行年:710-738年 直径2.3cm ▶
表:中央に方形の穴を開けたコインで、ソグディアナでフルアク王(Hurak)によって発行された。
穴は中国のコインの影響を示す。ソグド文字銘:(上)王、(下)Hurak.
裏:方形の穴の上下にソグド文字のモノグラム。

ギャラリートーク
講師:鈴木保秀(元高校世界史教諭) *参加費無料(観覧料は必要)
ソグド商人の登場
7月19日(日)14:00~15:00
唐帝国全盛時代に活躍したソグド商人は、
シルクロードを席巻していた。
奈良の正倉院にも残るソグド商人の痕跡からたどり、ソグド商人とは何者だったのか。
ソグド商人について紐解きます。
唐帝国とソグド商人
8月16日(日)14:00~15:00
隋、唐という 2大帝国の建国に深くかかわったソグド商人、彼らは商人の範疇を越えて、暗躍していきます。
特に唐帝国の繁栄に深くかかわったソグド商人のネットワークについて解説します。
唐帝国の黄昏とソグド商人
9月20日(日) 14:00~15:00
玄宗皇帝の末期、楊貴妃をはじめとする揚一族の重用は「安史の乱」へとつながります。
「国破れて山河在り」(社南)以降の傾国の唐帝国とソグド商人の行方について、その激動のドラマに迫ります。





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